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interview院長インタビュー
訪問診療には患者様・ご家族の人生を
より価値のあるもの・豊かなものに変える力がある
訪問診療のためのクリニックを立ち上げた経緯は?
訪問診療に携わる前は、放射線治療によるがん治療を専攻し、様々ながんの早期治療から緩和ケアまで幅広く関わっていました。
私が初めて訪問診療に携わったのは大学院生の時で、今から10年ほど前です。その時、たまたま訪問診療に出会う機会があり、「こういう仕事があって、社会的ニーズがあるのだな」と目の当たりにしました。
ただ、当時勤務していたクリニックは非常勤の医師が中心で、比較的良く担当医が変わっていました。「きちんと主治医が診るクリニックを作ったら、より質の高い訪問診療が行えるのではないか?」と思い、守口市で訪問診療に特化したクリニックの立ち上げに関わりました。
そこで8年ほど勤務した後、自らの訪問診療に対する想いを更に追求し、実践するために、2023年2月に「こまくさ在宅クリニック」を開院しました。
医師のキャリアとして様々な選択肢がある中で、訪問診療を選ばれた理由は?
高校生の時、祖父が訪問診療でターミナルケアを受けたのですが、それにより自宅での安らかな看取りに繋がったことが、心のどこかに残っていたのだと思います。
その後、今もお話しした通り、大学院生の時に実際に訪問診療に携わるのですが、その経験から「訪問診療には、患者様やそのご家族の人生を価値のあるもの・豊かなものに変える力がある」と確信するに至り、訪問診療を専門とする道を選んだのです。
長年、訪問診療に携わっておりますが、その重要性や価値をますます感じています。そして何より、私自身が訪問診療が好きなので、それを通じて地域医療の発展に貢献したいと思っています。
訪問診療・在宅医療のニーズは高まっているとお感じですか?
そうだと思います。現在、超高齢社会と言われているようにご高齢の方が増えていて、合併症を抱えている方も多いです。そうなると、足腰が弱っているのでそれぞれの診療科に通院するのが難しい、「老々介護」で外出もままならないというような状況も生じます。そうした状況の中、「通院は必要最小限にとどめたい」「本当に必要な時だけ、通院したい」というニーズは高まっていると感じています。
こうした背景に加えて、コロナ禍により訪問診療・在宅医療への注目度がより高まったという印象です。コロナ禍のため面会禁止で入院しているご家族に会えない、病院でひとりで過ごさなくてはいけない、そうした状況に耐えかねて訪問診療・在宅医療の利用を検討される方は多かったです。
訪問診療の対象となるものは通院が難しいすべての方
様々な症状・疾患を診させていただきます
現在の場所を開院場所として選ばれた理由は?
大東市や四條畷市、またその近隣市は、面積が広く豊かな自然が魅力的な地域です。その一方で、公共交通機関を利用して遠方の病院への通院を余儀なくされている患者様が多いという現状があります。
長年、大東市・四條畷市で訪問診療を行ってきた経験から、地域にお住まいの方々との信頼関係はもちろん、訪問看護、ケアマネージャー、病院との深い信頼関係が築けておりますので、ここに訪問診療に特化したクリニックを構えることは、地域医療の貢献に繋がる、何よりも地域住民の方々に喜んでいただけると思い、現在の場所を選びました。
訪問診療の訪問エリアについて教えていただけますか?
基本的には、当クリニックから車でおよそ30分以内のエリアで、大東市、四條畷市、東大阪市、門真市、大阪市東部、寝屋川市、交野市、守口市、枚方市、奈良県生駒市(西部)を対象としています。
その他のエリアにつきましても、スケジュールの調整が可能な場合には訪問させていただきますので、お気軽にご相談ください。
診療内容や対象者について教えていただけますか?
訪問診療の対象となるのは、自力での通院が難しいすべての方で、様々な症状・疾患を診させていただきます。特にがんの終末期(抗がん剤治療中のフォローアップも含まれます)の緩和ケアはもちろん、神経難病、様々な慢性疾患、生活習慣病、老衰、精神疾患など、幅広く診療して患者様の多様なニーズにお応えしています。
その他、パーキンソン病やALS(筋萎縮性側索硬化症)などの神経難病、老衰や認知症、高血圧や糖尿病といった生活習慣病、加えてうつ病や統合失調症の慢性期など多彩な疾患の診療にあたっています。さらに、小児の看取りや慢性疾患にも対応しております。
24時間365日・いつでも医師と連絡がとれる
患者様の希望・ニーズに合わせて最善の医療を提供
訪問診療を行う際に大切に考えていることは?
最も大切にしているのは、患者様それぞれの価値観を尊重することです。それを基本としないと、在宅医療は上手く機能しないと感じています。もちろん、医学的根拠(エビデンス)やガイドラインを基本とします。その上で、患者様の希望や信条、生活環境までも総合的に考慮して、一人ひとりにあった最善の医療を提供したいと考えています。
患者様のご要望としてどのようなものが多いのでしょうか?
「しんどくて通院できない」ということで訪問診療に移行することがやはり多いです。理由といては、持病の悪化や進行はもちろん、家族や介護者の高齢化で負担が大きくなっていることもあります。
時には、「(通院できる体力はあるにも関わらず)通院したくない」とのことで衰弱が進行して、心配した家族から相談が来ることもあります。背景に何らかの精神疾患があって通院できていない場合の他、もともと医者嫌いで通院したことがない/行きたくない、というケースは珍しくありません。
医学的には設備の整った病院などに通院して検査を受ける方が良い場合もありますが、それを希望されない方もいらっしゃいます。そのような場合でも、患者様のこだわりや希望を尊重し、最適な方法をともに模索しています。
なので、患者様やそのご家族とのコミュニケーションは非常に重要となります。これは訪問診療に限らずですが、それを欠くと医療は前に進みません。患者様やご家族の声、その背後にある訴えや不安に真摯に耳を傾けて、良好な関係性を築くようにしています。
こまくさ在宅クリニックの訪問診療の特徴は?
当クリニックの大きな特徴として、「主治医制」を採っている点が挙げられます。これにより一貫した診療が可能で、訪問看護師や患者様からの連絡が的確に医師に伝わり、迅速に対応することができます。
加えて、24時間365日、医師と連絡がとれる体制を整えており、必要に応じて緊急往診や救急搬送も手配できる体制にあります。
また当クリニックは居宅(※患者様のご自宅)でのケアを重視しており、重症の患者様であってもお断りせず対応しています。近隣の医療機関と密接に連携していますので、専門的な検査や治療が必要な場合もすぐに手配いたします。
患者様のご自宅での生活を豊かにし
穏やかに旅立つことができる社会を創造
こまくさ在宅クリニックの理念・コンセプトは?
患者様のご自宅での生活を豊かにし、そして旅立つことができる社会を創造することをビジョンとして掲げて、患者様が穏やかで安らぎのある人生を送れるように、真摯に良質な医療を提供することを理念としています。
こうしたビジョン・理念の実現に向けて、日々、診療に励んでいます。
ホームページをご覧の方へお伝えしたいことは?
重い症状を抱えておられる場合、「在宅での診療や看取りは難しい」とお思いになるかもしれません。ですが、「無理だろう」と思われる方でも在宅でのケアや看取りを実現されているケースは多々あります。「家での最期は難しい」と感じている場合でも、一度私たちへご相談いただけたら、意外と家での最期を迎える道が見えてくるかもしれません。
人生の最後の瞬間は特別なもの。その時間を家で過ごし、人生を豊かに納得して終えることの価値は計り知れません。そしてご家族にとっても、最期まで介護をやり切ったという感覚は非常に大切で、その後のご家族の心の支えともなります。
こまくさ在宅クリニックは、そういった患者様・ご家族の大切な瞬間をサポートしたいと考えています。訪問診療・在宅医療の利用をお考えでしたら、まずはご相談だけでもかまいませんので、お気軽にご連絡ください。